第6章 催眠と心と精神
 
 私の人生において、こうした心の働きの本質を解明することが課題でした。
 

 幼いころから、人間の魂や心の世界、霊界と呼ばれる死後の世界に関心を抱き、神秘的と感じる様々な現象や心の感覚を解明したいと探求してきました。
 
 それゆえに、瞑想や精神的鍛錬、真冬の滝行などの実践を一人で試行錯誤しながらも、心の神秘を体感してきました。インドにもヨガの瞑想(ラージャヨーガ)の探究のために何度も渡航し、現地の新聞で三度も記事として取り上げられました。私が26 から29 歳のころの話です。インドのニューデリーの小学校で、全生徒に対して、ヨガに関する実演や講演を依頼されて実施したこともあります。
 
 こうした時間が経過し、私が40 歳を超えたころ、医学の世界も変化して、脳科学が急激に進歩し始めました。これは私にとって光明でした。
 
 それまでの人生の探究が、決して無駄だったわけではありません。しかし、催眠現象を含めたあらゆる心の世界が、脳の機能によって生み出されていることが解明され始めたのは画期的なことでした。
 
 脳という、これまでブラックボックスだった世界に光が当てられ、その働きが見えてきたのです。
 
 若いころから不思議だった、人を支配する催眠術の原理も脳科学で説明できる時代がきたのです。
 
 「心の病」を治すために必要な心理療法のテクニックや、これまでの伝統的な催眠手法が、脳科学によってその正当性の裏づけとなりヒントにもなり、確信をもって実施できるようになったのです。
 
 それではこの後、なぜ催眠誘導による催眠支配が可能となるのかについて、原理を理解していただくために説明をしていきます。
 
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