内的作業モデル
ボウルビィは「内的作業モデル」(または内的ワーキングモデル)という概念を導入しました。成人の愛着障害においては、内的作業モデルが非常に重要な役割を果たすと広く考えられています。これは、人が自分自身と他者、そして人間関係やその世界について持つ基本的な信念や期待、規範を形成します。安全な愛着が形成されないと、不安定な内的作業モデルが生成され、これが幼少期から成人期における人間関係や自己認識にネガティブな影響を与えます。
ボウルビィの愛着理論に基づけば、内的作業モデルは主に幼少期の養育者(ケアギバー)との相互作用から形成されます。安全な愛着関係が築かれることで、一般的には他人を信頼でき、自分自身も愛される価値があると感じられる健全な内的作業モデルが形成されます。逆に、不安定または不安な愛着関係が形成されると、人々は他人を信頼しきれない、または自分自身が愛される価値がないと感じる可能性があります。
成人においては、この内的作業モデルが、新しい関係を築く際や既存の関係を維持する際に、その人がどのように振る舞うかに影響を与えます。例えば、不安定な内的作業モデルを持つ人は、新しいパートナーに対して過度に依存するか、逆に過度に独立した振る舞いをする可能性があります。
内的作業モデルは一度形成されると変更が難しいものではありますが、心理療法や対人関係において「安全な基地」を形成する経験を通じて、改善する可能性もあります。
催眠療法におけるこのような治療では、患者が自分自身と他者に対する新しい形の理解と期待を形成できるようサポートされます。
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