愛着スタイル
愛着スタイルは、人々が他者との関係においてどのように感じ、考え、行動するかを反映するとされています。心理学者たちは愛着スタイルを大まかに以下の4つのカテゴリに分類します。
(愛着スタイルの名称については複数の用語や分類法が存在します。研究によっては、これらの基本的な愛着スタイルに更に細かなサブカテゴリーを加える場合もあります。)
安全な愛着(Secure Attachment)
不安定-回避型愛着(Anxious-Avoidant Attachment)
不安定-依存型(または不安型)愛着(Anxious-Preoccupied Attachment)
混乱-不安定型愛着(Disorganized Attachment)
各愛着スタイルは生涯にわたって影響を及ぼす可能性がありますが、子供時代、学童期、成人後でそれぞれ異なる特徴があります。
ただし、愛着スタイルは固定されたものではなく、異なる環境や関係、さらには心理療法や自己啓発によって柔軟性を持たせたり変化させることもできます。
さらに、愛着スタイルは一人一人が単純に一つのカテゴリーに分類されるものではなく、多くの場合、複数の特性が一定の程度混在しています。これも、異なる生涯の段階や状況に応じて変わる可能性があるため、柔軟に考える必要があります。
Secure Attachment(安全な愛着)
特徴: 信頼とコミュニケーションがしっかりしている。
お互いの独立性を尊重し、公平なコミュニケーションが可能。
独立性と相互依存のバランスが良い。
自己認識が高く、自分自身も他人も高く評価できる。
問題: 特に大きな問題は少ないが、あまりに安定しているため、時にはパートナーの問題を過小評価する可能性がある。
あまりに安定しているために、パートナーの愛着スタイルによる問題を見過ごす可能性。
恋愛・夫婦関係での影響: 長期的な関係でも安定性があり、対人問題に柔軟に対応できる。感情のオープンなコミュニケーションが可能。
対等なパートナーシップを形成しやすい。
コンフリクト(意見の食い違い)が起きた場合でも、建設的な対話で解決する傾向。
Anxious-Resistant Attachment(または Anxious-Ambivalent Attachment)
(不安・依存型愛着)
特徴: 過度に依存し、頻繁に承認と確認を求める。
頻繁に安心や確認を求め、パートナーからの注意が不足すると不安になる。
自分自身に対する評価が低く、承認を求めがち。
パートナーに強く依存し、別れや拒絶に非常に敏感。
問題: パートナーに過度な要求をしてしまうことがあり、これがパートナーにプレッシャーを与える場合が多い。依存心が強いため、パートナーがいないと不安に感じやすい。
パートナーに対する過度な要求や依存が、パートナーにストレスやプレッシャーを与える。
恋愛・夫婦関係での影響: パートナーに対する依存が強く、不安や嫉妬が頻繁に起こる。別れや拒絶に非常に敏感。
常にパートナーの気を引こうとする。
別れや拒絶に対する不安から、パートナーに対して嫉妬や依存が強くなる。
Anxious-Avoidant Attachment(不安・避ける型愛着)
特徴: 感情の開示が少なく、他者に依存することを避ける。
閉じこもりがちで、感情や考えをオープンにするのが苦手。
他人との密接な関係を避け、独立性を高く評価。
感情を抑制し、自己防衛のメカニズムが高い。
問題: 感情を抑えがちなため、パートナーとの深いつながりの形成が難しい。問題があっても、それを表に出さず解決を避けがち。
閉じこもりがちで、真の感情や考えをパートナーに伝えるのが難しい。
恋愛・夫婦関係での影響: コミットメントや感情の表現が避けられがちで、深いつながりの形成が難しい。
パートナーとの距離を保ちたがるため、深いつながりが生まれにくい。
依存されること、または依存することを避けるため、感情をオープンにすることが少ない。
Disorganized-Disoriented Attachment(混乱・逸脱型愛着)
特徴: 予測不能な感情や行動、混乱した対人関係がある。
一貫性のない反応や感情の変動が激しい。
感情や行動が不安定で予測不可能。
信頼感や安全感に対する欠如。
問題: パートナーに対する反応が不安定で予測不可能なため、関係が不安定になりやすい。時にはパートナーに対して怒りや不信感を持つことも。
パートナーとの関係が高度に不安定。
恋愛・夫婦関係での影響: 安定した関係を維持するのが難しく、時には依存と避ける行動が混在する。感情が不安定で、不信や怒りが爆発することも。
安定した関係を築くのが非常に困難。
依存と避ける行動が混在し、パートナーに対する信頼が一貫しない。
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