学童期の愛着障害
学童期(小学生時代)の愛着障害としての特徴は、それ以前の環境によって決定されていきます。
具体的には、幼児期の愛着障害がその根底に多く存在します。
この幼児期の愛着障害は、養育者による過度な保護、無視、不一貫した対応、虐待、または感情的不在など、不安定または不適切な親子関係に起因することが多いのです。
このような養育環境において育った子供は、自立性や自己価値感、他者への信頼感の形成に困難を抱える可能性が高いといえます。
この問題は、学童期に進行すると、同年代の子供たちとの友情や集団活動、学業においても悪影響が及びます。
幼児期に愛着障害を受けた子供は、能力や適性に関わらず、子供が人との深い関係を築くのが難しく、孤立したり、反抗的な行動を取ることが多くなる場合があります。
その結果、さまざまな心の病が生じてしまうのです。
そのため、早期の専門の心理的支援が重要となる場合も多く見られます。
学生時代に愛着障害があると、対人関係での孤立、学業成績の低下、問題行動、そして低い自尊心や自己評価が引き起こされる可能性があります。これらの問題は社交性、学習、心の健康に影響を与え、成人後にも様々な問題を引き起こす土壌を作る可能性があります。
成人後に愛着障害がある場合、対人関係における不安定さ、コミットメントの問題、職場での対人関係やパフォーマンスの低下、そして一般的な心の健康問題(例えば、抑うつや不安障害)が生じる可能性が高くなります。これらは生活の質を低下させ、長期的な幸福に影響を与える可能性があります。
「コミットメント」は約束や責任感、献身的な関与を意味し、主に恋愛、結婚、仕事の文脈で使われます。コミットメントが高い人は、困難な状況にも積極的に取り組みますが、低いと困難が起きた際にはその関係や仕事を簡単に放棄しがちです。このコミットメントに対する態度は愛着障害によって偏ることがよくあります。
不安型の愛着を持つ人は、人間関係において常に「相手が自分をどれだけ大切に思っているのか」ということに強く焦点を当てがちです。このため、関係の安定や相手からの愛情を確認したいという欲求が強く、相手に対して過度な要求や頻繁な確認を求めることがあります。このような行動は、相手にプレッシャーを感じさせ、結果的には関係に重荷をもたらす可能性があります。
避ける型の愛着を持つ人は、深い感情的な繋がりを怖れる傾向があります。この怖れは、過去の親子関係や人間関係における痛みや失望からくるもので、その結果として人々は深い関係を避けようとします。表面的な友情やカジュアルな関係は維持できるかもしれませんが、心の奥底では常に「距離」を保ちたいという欲求が働きます。このような人は、相手からの深い感情や依存を感じると、無意識にその関係から身を引く行動を取ることが多いでしょう。このパターンは、本人にとってもパートナーにとっても、長期的な信頼関係や深い愛情関係の形成を困難にする可能性があります。
不安型、避ける型の愛着に関しては、愛着スタイルを参照してください。
