催眠療法における理想的状態
催眠療法とは、心の奥深く(無意識)に隠れた問題や感情にアクセスしやすくするための手法の一つです。
しかし、その目的は深い催眠状態に入ること自体ではありません。
実際には、心の病を治す催眠療法では深い催眠状態に入る必要はありませんし、それは必ずしも最も効果的なアプローチであるとはいえません。
理由の一つは、心の病(問題)やトラウマを解決するには、催眠状態の中での理性的思考が非常に重要であることです。
深い催眠状態では、患者の意識が非常に低下しているため、理性的な思考や自己反省の能力が制限されることがあります。
これに対して、軽度から中程度の催眠状態では、無意識内の自分の感情や考えにアクセスすることが容易であると同時に理性的な思考も保持できるのです。
マインド・サイエンス独自の催眠療法である、効果が永続的であるための「理性の理解、感情の納得」においては、過去のトラウマや心の問題を再評価し、新しい視点や気づきを得るために、理性と感情のバランスが取れている状態が理想的なのです。
前頭前野(理性)と情動系(感情)が連携し、共同で問題解決のプロセスを進めることができるからです。
したがって、催眠療法において最も重要なのは、催眠状態下で心の内面(無意識領域)にアクセスしやすい状態を作り出すことです。それが深い催眠状態である必要はなく、実際にはしっかりと意識を伴った軽い催眠状態の方が、心の病や精神的苦痛の改善において、理想的思考と感情のバランスをとりながら催眠療法における心理療法を進めるのに最適なのです。
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