第3章 緊張とあがり
そもそも、緊張やあがり、赤面などはなぜ起こるのでしょうか。
私たちは、子供のころの体験により、脳内に緊張やあがりなどの条件回路が形成されることがあります。しかし、再度同じような状況に置かれるまではその形成された条件回路を意識することなく生活しています。しかし、ある時、人前で、突如極度の緊張やあがりなどを経験して戸惑うという事態に直面することもあるのです。これは、脳に形成された情動反応の誘発です。
あがりや緊張時における情動反応とは、まず、過去の体験によって脳内で形成されている条件回路の刺激によって、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が脳内に分泌され、皮質に作用すれば、前頭前皮質への血流が阻害されます。その結果、頭が真っ白になった感覚に陥ります。それと同時に、脳内の血液が大脳辺縁系である情動の部位に大量に流れ込み、激しい情動反応が生じ、交感神経が興奮します。その結果、顔がひきつったり、声や手足が震えたりなどの緊張反応が起こるのです。
また、視床下部に作用することで、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が下垂体から分泌されて、視床下部―下垂体―副腎皮質(HPA 軸、第2章P.84 ~)の反応により、血中に放出されたアドレナリンが、脳幹の青斑核を刺激して、脳内でノルアドレナリンの分泌が亢進されて、さらなる交感神経の興奮による情動反応(緊張とあがり)に襲われます。
緊張とあがりの克服
実際、緊張やあがりを克服することはそれほど難しい問題ではありません。
それは、過去に形成された条件回路の修正と、交感神経の過剰興奮を抑制するコントロール法を身につければ簡単に克服できます。
そうはいっても、これまで自力だけではどうにもできずに、途方に暮れるほど深く悩み抜かれてきたことを思えば信じ難いことでしょう。
では、修正が必要な条件回路とはどういうものでしょうか。また、交感神経の過剰興奮をどのようにコントロールすればよいのでしょうか。
〈以下略〉ぜひ本書を手に取ってお役立てください。
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