第3章 対人緊張・恐怖、
視線恐怖(自己視線恐怖)
人の視線が気になり、落ち着かないばかりか緊張が生じ、たまらない思いを抱く理由は何でしょうか。なぜ人の視線が精神的な圧力を感じさせるようになったのでしょうか。
初対面の人とは平気だけど、知り合いとの会話や自分が見られている状況において過剰な緊張が生じると訴える人がいます。また、対象が誰であっても緊張が出てしまう人も多いでしょう。
どうして人の評価を気にして、自分を人の目から隠そうとしてしまうのでしょうか。
堂々と人前で、好きなように行動し、人目を気にせずに楽しく過ごせないのものでしょうか。
その答えは、やはりあなたの“ 過去の心” にあるのです。
こうした対人緊張は、単なる緊張だけではなく、恐怖感にかられて苦しむ症状についても本質的には同じことです。
では、症状から解放するにはどうすればよいかをお話しします。 緊張は、交感神経の過剰な興奮によって起きるということはすでに述べました。その現象を作り出しているのは、自分の心(脳)なのです。心が何らかの過去における要因で反応しているのです。
どのような視線や態度があなたに向けられようと、それが意図的なものなのか、偶発的な出来事なのかは分かりません。しかし、あなたはつねに緊張し、怯える状態であり、その時の状況に対して客観的な意識が向いていないのです。あなたの感じ方や反応は「あなた自身の心の反映なのです」と説明しても、対人恐怖や視線恐怖に悩む人にとっては受け入れ難いでしょう。それは苦しい現実であり、自分の心が現実の認識に反映しているとは思えないからです。
人によっては、症状が悪化すると自分を批判し罵倒する相手の声が聞こえるようになり、それによって苦しむ人もいます。
なぜそんなに苦しむのか。それは、あなたが過去において持続的に苦しんだ経験があるからです。それが子供時代からの意識されていないかも知れない “ トラウマ” の歴史なのです。
こうした症状も、幼少期の愛着障害(第2章P.89 ~)が背景にあり、あなたが十分な自己肯定感を育てることができないまま成長してしまった生育歴が大いに絡んでいます。
人と接していて、視線が合った時、人が自分のことをどのように思ったかを敏感に感じて苦しくなったとしても、その感じた内容は客観的に正しいとは限らず、過去の経験により影響を受けた「自己の心の反映」だということを理解していただくために説明します。
今がどんなに苦しくても、これらの症状は治していけます。
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