第4章 遺伝子の発現
 
 親からどのような遺伝子をどの程度受け継いでいるか、受け継がれたどのような遺伝子がどの程度働いているかという遺伝子からの影響が、人の人生を左右してきます。

 人の遺伝子(DNA)は父親からと母親から受け継いだ二重らせん構造の染色体が2本ペアになっています。そして、同じ位置にある遺伝子(対立遺伝子)の父親由来か母親由来かどちらかが優性・劣性遺伝の法則で発現するのです(現在は、優勢・劣性遺伝とは表現しません。優れている・劣っていると誤解されやすいので、2017 年から顕性・潜性と用語改定されています)。

 母親によると、息子は幼少時はやさしさ溢れる面も多々あったとのことです。夫から言葉や態度でDV を受ける私を見た時などには、「お母さんをウルトラマンみたいに守ってあげる」と慰めたりしてくれたようです。

 しかし、子育ての中で、「そんな勝手なことしたらあかんよ! お父さんに似たようなことをしないで!」と、父親を引き合いに出して叱ったりしたことが何度もあったそうで、それは子供には絶対に言ってはいけないことと相談員さんに言われてやめ、反省したといいます。

 さらにお母さんの話によると、「息子は、小さいころから気にくわないことがあると私にイライラを向けます。モノにあたり暴言を吐いたりします。場合によってはモノを壊してしまうこともあり、極端な例では、玄関の鍵がなかったときにいらついて窓ガラスをひび割らせたりするなどと激しいのです。そんなことしてはいけないと叱ると、鍵を置いていないほうが悪いなどといっていました。開き直り方が元の主人に似ていて嫌だなぁと思ったのでした。ですが、外では我慢しているようで学校の先生や友達にも感情をぶつけてはいないようなので、そんなことをしているという学校からの報告はありませんでした。なので、外でのストレスは 相当だったと思います」とのことでした。

 しかし、「物事がうまくいかない時の当たり散らしは、主人のそれと似ており、私もとても嫌な気持ちになって、苦しさが蘇ってきますし、本人も父親が些細なことでカリカリして、家の中の雰囲気がピリピリしたり、暴言を吐かれたり、暴れて壁に穴をあけたり、物を破壊したりしていた記憶がどこかに残っているのだろう」と思います。

 
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