第2章  心の病を治すヒント
 
 さて、人はなぜ、時として苦しみを引きずるのでしょうか。
 また、他人は悩まないことに対して、自分だけが悩んでしまうのでしょうか。

 同じストレスにさらされていても、なぜ、精神的苦痛にいたる人や平気な人、心の病が発症する人としない人がいるのでしょうか。

 その答えを見つけることは、そこに心の病を治すことのできるヒントが隠されているのです。

 一般的にあるストレス環境にさらされた状態で、何らかの症状が出た場合、その症状を作った原因が誤解されています。発症当時のストレスは、厳密にいえば「原因」ではなく「きっかけ」なのです。この点を勘違いしてはいけません。

 心の病を作り出す原因の追求は、発症当時のストレスの内容をヒントとし、そうしたストレスに大きなダメージを受けてしまう個人の特性に焦点を当てながら、そのような個人的傾向を作った子供時代のトラウマと呼べる環境を推察する必要があります。

 そこに、心の病を発症させる真の原因があり、心の病を治すヒントが潜んでいるのです。

 それではこの後、個人の特徴の形成について話を続けます。

 
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