私たちが慢性的ストレスにさらされているとき、脳や身体が大量のセロトニン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどの神経伝達物質やホルモンをつくって、ストレスや気分の上がり下がりに対処しています。
これら神経伝達物質やホルモンの原料となるトリプトファンやチロシンといった必須アミノ酸が消費されるのは当然です。
それに加え、アミノ酸のモデルチェンジ(代謝)の際にビタミンC、ナイアシン、葉酸、ビタミンB6、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉄なども失われます。こうした補因子となるビタミン、ミネラル類も食物から十分に摂取しておく必要があります。また、脳が正常に働くためには、脳の神経細胞に必要な必須脂肪酸も欠かせません。ストレスが多いほど要求される栄養素も増えるのです。
しかしながら、食べ過ぎて肥満になるわけにはいきませんので、量の見極めと運動は必要です。
脳内で必須アミノ酸のトリプトファンが血液脳関門に取り込まれ、5ヒドロキシトリプトファン ⇒ トリプトファンとなります。
夜は体内時計の周期にそって、松果体という脳部位でセロトニンがメラトニンに変化します。右図の構造式を参照⇒
脳にとって大切な六つの栄養素
ブドウ糖、アミノ酸、必須脂肪酸、リン脂質、ビタミン、ミネラル
【 トリプトファンの含有量 (可食部100g当たり) 】
食品(可食部)100gの重さは食品によって見た目の量とは比例しませんのでご注意下さい。
植物性タンパク質のみで必要量を補う場合、総合的に相当な摂取量になる場合もあります。
特別なストレスがなくても、成人一日、200mgは最低欲しいところです。
もしストレスを受けている場合は、1,000〜1,500mg
不眠に陥っている時は500〜600mgのトリプトファンが必要です。
・肉類(赤身) 200 ~250mg
・赤身魚 200 ~250mg
・かつお節 1000mg
・粉末大豆蛋白 1100mg
・のり 480mg
・しらす干し 440mg
・大豆 490mg
・きな粉 490mg
・ごま 370mg
・カシュナッツ 360mg
・ナチュラルチーズ 320mg
・プロセスチーズ 290mg
・ひまわりの種 310mg
・鶏若鶏むね皮なし 280mg
・落花生 270mg
・納豆 240mg
・ココア 220mg
・アーモンド 200mg
・クルミ 200mg
・小豆 210mg
・インゲン豆 220mg
・そら豆 210mg
・エンドウ豆 190mg
・そば 192mg
・鶏卵 190mg
・松の実 150mg
・豆腐 98mg
・白米 89mg
・豆乳 53mg
・ヨーグルト 47mg
・牛乳 42mg
・バナナ 10mg
・マグロ(きはだ生) 270mg・米 100mg
・クロマグロ(生) 300mg・そば 190mg
・本マグロ(赤身生) 320mg・ライ麦 100~150mg
・本マグロ(脂身生) 250mg・粟(精白粒) 200mg
・かつお(生) 330mg・オートミール 200mg
・たらこ(生) 300mg・大麦・小麦 93~130mg
・すじこ(生) 280〜330mg・食パン 96mg
・ししゃも(生) 280mg・フランスパン 94mg
・かじき(生) 270mg・ライ麦パン 140mg
・ぶり(天然生) 250mg・うどん(生) 75mg
・はまち(養殖生) 250mg・うどん(乾) 98mg
・さけ(生) 230mg・そうめん(乾) 100mg
・さんま(生) 230mg・中華麺(生) 91mg
・ニジマス(生) 230mg・マカロニ 150mg
・さわら(生) 230mg・スパゲティー 150mg
・ひらめ(生) 230mg・小麦胚芽 300mg
・ふぐ(生) 230mg・ビスケット 79mg
・さば(生) 220mg・木綿豆腐 100mg
・かれい(生) 220mg・油揚げ 290mg
・たい(真鯛生) 210mg・豆乳 54mg
・あじ(生) 210mg・サトイモ 58mg
・あゆ(天然生) 210mg・ジャガイモ 24mg
・あゆ(養殖生) 200mg・山芋 23mg
・うるめいわし(生) 260mg・サツマイモ 15mg
・かたくちいわし(生) 190mg・栗 33mg
・まいわし(生) 220mg・アカデミアンナッツ96mg
・さくらだい(生) 220mg・ニンニク 94mg
・きす(生) 220mg・ブロッコリー 67mg
・かます(生) 210mg・ほうれん草 53mg
・あまだい(生) 200mg・バナナ 10mg
・あなご(生) 180mg・キウイ 14mg
・うなぎ(生) 180mg・イチゴ 8mg
ホットミルクは、200ccで約80mg摂取できます。(眠れない時、脳が疲労している時に役立ちます)
トリプトファンは、吸収して1時間後には脳に届いています。
*脳内でトリプトファンがセロトニンに変換されるには、血液に溶けているトリプトファンが血液脳関門を通過して脳内に取り込まれる必要があります。そのためには、インスリンの手助けが必要となります。
血中のアルブミンと結合しているトリプトファンをインスリンが切り離してくれると脳に取り込まれやすくなります。
インスリンの助けを得るためには、フルーツなどの果糖や甘い糖類を小量取ることで、分泌したインスリンが血糖値を一時的に上げてくれます。その時が、他のアミノ酸と競合して脳内に取り込めないでいる血中のトリプトファンを脳内に送り込むチャンスなのです。
また、悩みを抱え寝不足になると、インスリンが不足するので、結果的にセロトニン不足になり、さらにメラトニンも不足して、悪循環として眠ることが出来なくなって脳機能が混乱して様々な精神的・身体的症状が発生します。