脳科学・遺伝学に基づく「催眠療法」に関連した補足解説
側頭頭頂接合部:TPJ(P.324)

大脳皮質外側面
TPJは私たちの自己と他者の区別、自己体験の意識、他者の視点からの情報を処理します。また、身体感覚、視覚的な空間的注意(周囲環境との境界を識別する能力)を司る領域です。催眠状態にある人々は、この部位の活動が低下します。それにより身体感覚が変化(たとえば、自分の体が浮いていると感じるなど)し、自己と世界の境界が希薄になり、自己の意識と体験が変化します。これはTPJの活動の変化が関与して、他者の指示に自己が溶け込むような催眠体験を可能にします。
楔前部(P.328)
楔前部は感情と意識(自己認識)と他者への共感、また未来の予測といった能力に深く関与しています。この領域は我々が他人の視点を理解し、自己の精神状態を意識するのに重要な役割を果たします。催眠はこの領域の活動を調節し、我々が現実をどのように経験し、自分自身をどのよう認識するか(自我の感じ方)、また他人に対する理解(共感)や未来(将来)をどのように理解し予測するかを変えることができます。

大脳皮質内側面
楔前部は感情と意識(自己認識)と他者への共感、また未来の予測といった能力に深く関与しています。この領域は我々が他人の視点を理解し、自己の精神状態を意識するのに重要な役割を果たします。催眠はこの領域の活動を調節し、我々が現実をどのように経験し、自分自身をどのよう認識するか(自我の感じ方)、また他人に対する理解(共感)や未来(将来)をどのように理解し予測するかを変えることができます。
前頭葉と実行機能(P.326)
前頭葉に位置する実行機能は、計画、意思決定、問題解決、自己制御など、高次の認知的プロセス(実行機能)に関与しています。催眠状態では、特に前頭葉の前帯状回という領域が抑制され、これにより、実行機能に影響を与え、一時的に批判的思考や自己制御が低下します。これは、催眠によって人々はより開放的で受け入れやすい状態になり、催眠術師の指示により新しい行動や思考パターンの受け入れを容易にします。
これらの脳領域の活動の変化は、催眠がどのようにして人々の意識や行動を変えることができるかを理解するための鍵となります。催眠術師が行う暗示が受け手の意識や無意識のレベルでどのように作用し、結果として行動や感情、認識の変化を引き起こすかを理解する上で重要です。しかし、これらの過程は非常に複雑で、個々の人間の脳の個体差、経験、そして催眠への個々の反応性など、多くの要素が絡み合っています。
